インクルーシブ教育の実践

仁愛兼済の精神とともに

本園は仁愛学園の建学の精神である「仁愛兼済(人を思いやり、世のために尽くすこと)」にもとづき、2021年より医療的ケア児の受け入れを行っています。
「障がいがあるから」といって区別するのではなく、同じ場所で、同じ時間を過ごし、互いに育ち合う。それが、私たちが目指す幼児教育の姿です。 本園では、医療的ケアが必要な園児も、そうでない園児も、すべての園児が「ただ、そこにいる」ことが当たり前である環境づくりに取り組んでいます。

インクルーシブ教育とは 障がいの有無や国籍、家庭環境などにかかわらず、すべての子どもが同じ場所で共に学び、育ち合う教育のことです。一人ひとりの「違い」を認め合い、互いに支え合うことで、誰もが自分らしく生きていける共生社会への芽を大切に育みます。

医療的ケア児を受け入れるための体制

専門スタッフの配置と連携

医療的ケアに対応できる専属看護師を配置しています。また、地域の訪問看護ステーションや主治医とも密に連携し、日常的なケアから緊急時の対応まで、万全の体制を構築しています。

全職員による研修と共通理解

担任を含む全教職員が参加する研修を実施しています。主治医や保護者を招いて医療的ケアの知識を学ぶほか、緊急時を想定したシミュレーションを行い、全員が適切な対応を取れる体制を整えています。

受け入れ実績

2021年4月 〜 2024年3月 13トリソミー症候群、卒園後は地域の小学校へ進学
2024年4月 〜 現在 拡張型心筋症

共に学び共に育つ子どもたち

登園初日から園庭で遊びました。オムツの取れてない子、 お箸が使えない子、言葉が遅い子。みんなが一緒に遊びました。みんなが一緒に。

バギーを準備して登園を今か今かと待つ子どもだち。みんながそれをやりたくて、自然と当番制になりました。

「どうしたら一緒に参加できるか」をみんなで一緒に考え、全種目出場を達成しました(日焼けもしました)。

生活発表会では、その子が演じる役を「ぼくも!」「わたしも!」と周りの子が志願し、不人気だった役が一転して大人気に。

みんなと一緒にプールへ。浮き輪のひもをひっぱってあげたり、おもちゃを渡してあげたり。大人が指示しなくても、子どもたちは遊びの中で対等に関わり、支え合う方法を見つけ出します。

迎えた卒園式。園長が名前を呼ぶと、元気よく「はい!」クラスのみんなが返事をしてくれました。

保護者の声

お迎えのときに先生から今日の出来事を笑いながら聞いている横で、バスで帰る子たちが「バイバーイ」と声をかけて帰っていくんです。そんな日常風景が、みんなの関わりが自然に行われていることが、すごくうれしかったんです。改めて、こんな日常の一コマがうれしいなと。幼稚園で溶け込んでいる姿がうれしかったです。

認め合い、学び合い、育ち合う。

私たちには、一人ひとり違う個性があります。子どもたちは、それを何の偏見もなく認め合っています。「できる・できない」や「能力のある・ない」ではなく、「ここにいる」ということを、子どもたち同士が尊重し、支え合っています。その姿から学ぶことは、私たち大人にとっても本当に多いです。このように、多様な子ども・保護者・教員が認め合い、学び合い、そして育ち合う生活こそが、「仁愛兼済」の生き方を育てていくのです。

仁愛女子短期大学 幼児教育学科 香月拓

インクルーシブ教育は幼稚園から

運動会や生活発表会で医ケア児と「いっしょ」に活動する姿を常に保護者の方にも見てきていただく中で、保護者の皆さんの意識も変わってきました。子どもたちに『障がい』の概念はありません。あるとすれば、それは周りの大人がつくっていくものだと考えています。障がいはもとより、一人ひとりの顔や声色一つまでの「違い」を認め合い、支え合う幼稚園は、まさしく共生社会です。国際社会が日本に求め、めざす共生社会は、高校生や大学生になってから学ぶものでもなく、大人が実現していくものでもなく、仁愛幼稚園で既に始まっているのです。

園長 佐竹了